澤さんはどのような流れで、この企業プロジェクトに携わることになったのですか?
- 澤氏
- 私の担当業務は、高等教育機関と研究機関にどのようにクラウドを使ってもらえれば、より良い教育ができるか、より研究が捗るか、といった話をさせていただくことです。それについての発表をしたり、ブース展示をしたり、営業だけではカバーしきれないような長期的な視点でクラウドの良さを知っていただく活動に取り組んでいます。今回のプロジェクトにも、その一環として携わらせていただきました。
実際に学生たちの発表を目にして、どのような感触を持たれましたか?
- 澤氏
- 期待通りというか、それ以上ですね。最初は正直どれくらいできるものかな、と考えていました。一緒に携わっていた技術者とも、「形になっていなくても、コンセプトさえ良ければそれはそれで評価してあげよう」と話していたんです。でも実際に見せてもらったら、すごくちゃんとできていて、授業内では学習していないクラウドサービスやサーバレスのサービスなども活用されていたので、「ここまでやってくれるのか」とびっくりしました。AWSのツールを使ったアプリ開発は初めてですか?
- 学生
- そうですね。授業で知識的な入れ方はしていましたが、実践的に使ったのは今回が初めてです。もっと使いたいと思いましたし、使うべきだと感じました。

学生チームの提案の中で、特に高く評価されるのはどういった点でしょうか?
- 澤氏
- やはり、学校のリアルな悩みをちゃんと見つけて、先生からも話を聞いて、どこが問題で、どんな解決方法を持ってきたらどういう結果につながるか、という流れが見えてからつくり始めているところです。それは、まさに私たちが日々の業務の中で意識していることでもありますので、このプロジェクトに対するこちらの意図をよく理解してくれていると感じました。学生の皆さんにも、このプロジェクトから期待以上の何かを学んでいただけていたら嬉しいです。
- 学生
- 学校の授業での学びは、すでにあるものに倣って手順通りにやることなので、それはもちろん基礎として大切ですが、今回は企業が抱える課題に対して、自分たちで考えて、自分たちで形にしていくという取り組みでしたので、やはり教室では学べないものでした。
今回の体験を、学生たちには今後どのように活かしてほしいとお考えですか?
- 澤氏
- 皆さんが学校を卒業して、営業だったり開発だったり、さまざまな仕事に就くと思いますが、どんな職種であろうと、やっぱり最終的にすべては、それを使ってくださるお客さまのための活動ですよね。自分としては、あれを売りたい、これを売りたい、それをつくってみたいとか、いろいろあって当然ですが、それでお客さまがちゃんとハッピーになれるかどうかは、常に考えていなければいけません。いつか、そういう場面に行き当たった時、このプロジェクトを思い出してもらえると嬉しいです。
- 学生
- 澤さんが仕事をする上で大切にされていることは何ですか?
- 澤氏
- そうですね。自分が興味を持ち、長期的に自分がやりたいと思うことは、仕事の中に少しでも置くようにしてます。個人的には、10年後20年後の日本がもっと良くなっていてほしいですし、皆さんくらいの若い人たちが30代40代になった時に、「今の日本ってあの頃より良くなったな」と思えるような社会づくりに貢献したい、という願いがあります。皆さんが「今の仕事、なんかいいな」とか「自分のつくったものや売ったものが、こんなところで使われて、こんなふうに役立っている」とか、自信を持って生き生きと働いている将来の姿を想像することを大きな励みとして、また密かな楽しみとして、大事にしていきたいですね。

今後、御社と学生たちとの連携によるプロジェクトはどのように発展していきますか?
- 澤氏
- さまざまな大学や専門学校などと共同で取り組む機会は多いのですが、今回のようにプロトタイプをつくるところまで行かせてもらえることは少ないので、これをもっとレベルアップさせたいですね。毎年新しいものをつくるばかりでなく、先輩がつくったものをさらにバージョンアップさせるチームが出てきてもいいのではないでしょうか。テストでもいいから実際に使えるようにすると、また思わぬ問題が出てくると思うんです。そういう問題をひとつずつ潰していって、より良い商品やサービスにつなげていく、ということも体験してもらえたらと考えています。
これからITの世界を目指そうとしている学生たちへ、メッセージをお願いします。
- 澤氏
- ITの世界というのは、国境をまたぎやすいというか、場所も時間も超えて使ってもらえるものなので、すごく世界と繋がってる感覚が強い仕事だと思うんです。実際に、世界中の人と一緒に仕事をしたり、世界中の人に自分が関わった製品やサービスを使ってもらえるチャンスがすごい大きい分野なんですね。だからこそ、日本だけに閉じた世界でなく、ITというスキルを身につけて、ぜひ世界に目を向けて挑戦していってほしい。もちろん英語の勉強も、避けて通るわけにはいきませんよ。